Pasqal

Pasqal、フォトニックチップの光で中性原子を捕捉 4個のルビジウム原子で実証

Pasqalは2026年8月10日、子会社Aeponyxと共同で、フォトニック集積回路Photonic Integrated Circuit / PIC光を導く導波路や変調器、分岐器などの光学部品を、半導体チップ上に集積した回路。QI補足量子用途に限らず通信やセンシングでも使われる。量子関連の発表では、光源や検出器までどこまで一体化しているかを確認したい。(PIC)が生成したレーザー光により個々のルビジウム原子を捕捉したと発表した。単一チップから4つの光トラップを形成し、量子処理装置量子プロセッサ / Quantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。内で4個の原子を保持した。

✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。独自分析を読む ↓

発表概要

中性原子量子コンピューターNeutral Atom Quantum Computer / Neutral-Atom Quantum Computing電荷を持たない原子をレーザーなどで捕捉・配列し、その量子状態を量子ビットとして利用する量子計算方式。QI補足多数の原子を規則的に配置しやすい点が特徴。性能比較では原子数だけでなく、ゲート忠実度や再配置、損失率も確認したい。では、光ピンセットと呼ばれる集光レーザーで量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。となる原子を捕捉・制御する。原子数が増えるほど自由空間光学系が大型化・複雑化するため、光学機能の集積は大規模化に向けた課題の一つである。 今回の実証では、Aeponyxの窒化シリコン・フォトニクス技術を用い、単一のフォトニックチップから4つの光トラップを生成して4個のルビジウム原子を捕捉した。原子寿命は約27.5秒で、Pasqalは既存のバルク光学システムと同水準だったとしている。 Pasqalは、PICから供給した光による中性原子量子コンピューター上での原子捕捉を世界初と認識している。また、将来のプロセッサーでは光学系の設置面積を最大50分の1に縮小できる設計だと説明する。長期的には、1万個超の原子と100論理量子ビットLogical Qubit複数の物理量子ビットと量子誤り訂正を使い、エラーから保護された1つの量子ビットとして扱う情報単位。QI補足「論理量子ビットを作った」だけでFTQCが完成したとは限らない。論理エラー率や演算性能、スケール可能性を確認したい。を備えた耐障害型システムを目標としている。

重要ポイント

  • 単一のフォトニックチップから4つの光トラップを生成し、4個のルビジウム原子を捕捉した
  • 原子寿命は約27.5秒で、Pasqalの既存バルク光学システムと同水準だったとしている
  • 子会社Aeponyxの窒化シリコン・フォトニクス技術を活用した
  • Pasqalは将来のプロセッサーで光学系の設置面積を最大50分の1に縮小する設計だとしている
  • 長期目標として1万個超の原子と100論理量子ビットを掲げる一方、実現時期や誤り訂正性能、量産コストは示していない

技術・事業上の意味

技術面では、原子を捕捉するための光学機能をチップへ移し、原子数の増加に伴う自由空間光学系の大型化と複雑化を抑えられる可能性を示した。既存のバルク光学系と同水準の原子寿命を得たことは、集積フォトニクスを中性原子プロセッサーの構成要素として利用するための初期的な根拠となる。 事業面では、光学系の小型化が進めば、装置の製造規模を拡大するうえで有利になる可能性がある。また、買収したAeponyxの技術をハードウェア開発へ組み込んだ成果でもある。ただし、今回の実証は4個の原子の捕捉であり、1万個超の原子や100論理量子ビット、耐障害動作の実現を直接示すものではない。

今後の注目点

次の焦点は、4つの光トラップから規模を拡大した際にも、原子寿命や捕捉性能を維持できるかである。レーザー光の生成・経路制御をチップ上へどこまで統合し、光学系を最大50分の1に縮小する設計を実機で示せるかも判断材料となる。さらに、1万個超の原子と100論理量子ビットに向けた段階的な成果、誤り訂正性能や量産コストに関する具体的なデータが公開されるかが重要となる。

✍️ Quantum Indexの視点

今回の発表で重要なのは、原子数の増加に伴って大型化・複雑化しやすい光学系を、フォトニック集積回路Photonic Integrated Circuit / PIC光を導く導波路や変調器、分岐器などの光学部品を、半導体チップ上に集積した回路。QI補足量子用途に限らず通信やセンシングでも使われる。量子関連の発表では、光源や検出器までどこまで一体化しているかを確認したい。(PIC)で小型化できる可能性を実機で示した点にある。従来、光学テーブル上の多数のレンズやミラーなどが担ってきた光の分配・経路制御の一部をPICへ移せれば、量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。数を増やす際に装置全体の物理的な規模が膨らむ問題を抑えられる可能性がある。原子寿命が約27.5秒と既存のバルク光学系と同水準だったという結果も、集積化によって捕捉性能が大きく損なわれていないことを示す初期的な材料になる。

同時に、これは2025年に買収したAEPONYXのフォトニクス技術を、Pasqalの中性原子QPU量子プロセッサ / Quantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。へ実際に組み込んだ成果でもある。光学系の集積化はPasqalだけの課題ではない。例えばOptQCのような光量子コンピューターPhotonic Quantum Computer / Optical Quantum Computer光子や光の量子状態を情報の担い手として利用し、量子計算を行う量子コンピューター。QI補足光子生成、損失、検出、集積化などが性能を左右する。量子ビット数だけでなく、損失率や光源・検出器の性能も見たい。でも、多数の光学機能を安定して実装しながらシステムを大規模化することが重要になる。方式やPICに求められる性能は異なるものの、研究室規模の自由空間光学系が大型化するのを避け、光の制御や伝送、処理に必要な機能を集積していく方向性は共通している。中性原子方式中性原子量子コンピューター / Neutral Atom Quantum Computer / Neutral-Atom Quantum Computing電荷を持たない原子をレーザーなどで捕捉・配列し、その量子状態を量子ビットとして利用する量子計算方式。QI補足多数の原子を規則的に配置しやすい点が特徴。性能比較では原子数だけでなく、ゲート忠実度や再配置、損失率も確認したい。や光量子方式では、研究装置から工業製品へ近づけるうえで、フォトニクスの集積は量子ビット性能とは別の重要な競争軸になり得る

ただし、今回実証したのは4トラップ・4原子であり、「最大50分の1の小型化」や1万個超の原子、100論理量子ビットLogical Qubit複数の物理量子ビットと量子誤り訂正を使い、エラーから保護された1つの量子ビットとして扱う情報単位。QI補足「論理量子ビットを作った」だけでFTQCが完成したとは限らない。論理エラー率や演算性能、スケール可能性を確認したい。は将来目標だ。次に問われるのは、数十、数百とトラップ数を増やしても原子寿命や光制御精度を維持できるか、そしてPIC化が実際の装置サイズ、安定性、製造性の改善につながるかである。

関連記事

出典

発表元の記事を読む

この記事が参考になりましたら、ぜひシェアしてください。
𝕏 この記事をシェア

類似投稿