QUDORA、EU量子プログラムに採択 近接場量子制御とHPC統合のロードマップ策定へ
ドイツのQUDORA Technologiesは、EuroHPC Joint Undertaking(EuroHPC JU)のQuantum Grand Challengeに採択された欧州量子企業13社の一つとなった。採択プロジェクト「NEQTAR」では、独自のNear Field Quantum Control(NFQC)技術を拡張し、欧州の高性能計算(HPC)基盤へ統合するための技術・財務ロードマップを策定する。同社はEUのSTEP Sealも取得した。
発表概要
NEQTARは、QUDORAのNFQC技術を実用規模へ拡張し、EuroHPCのスーパーコンピューティング環境へ組み込む方法を検討するプロジェクトである。技術面だけでなく、産業規模への展開に必要な資金計画もロードマップに含める。 NFQCは、従来のトラップドイオン量子コンピューターで使われる大型レーザー装置を、オンチップのマイクロ波電子回路に置き換える制御方式である。標準的な半導体プロセスによる製造を想定し、高精度な量子ビット制御と長いコヒーレンス時間を保ちながら、制御系の拡張性を高めることを狙う。 Quantum Grand Challengeには30件の提案があり、要件を満たした27件を専門家が評価した結果、13件が採択され、3件が予備リストに入った。第1段階では、プログラム全体で約400万ユーロのHorizon Europe資金を用い、原理実証や初期プロトタイプを伴う技術・財務ロードマップの策定を支援する。 第1段階の参加企業は2027年1月から、欧州投資銀行(EIB)のVenture Debt Platformへ申請できる。審査を通過した企業は、産業規模への拡大と商用化に向けた融資の対象となる可能性がある。QUDORAへの個別助成額や融資の実施は明らかにされていない。
重要ポイント
- QUDORAのNEQTARが、EuroHPC JUのQuantum Grand Challengeに採択された13件の一つとなった。
- NFQCの拡張と欧州HPC基盤への統合に向け、技術・財務ロードマップを策定する。
- NFQCは大型レーザー装置の代わりに、半導体プロセスで製造するオンチップ・マイクロ波回路でトラップドイオン量子ビットを制御する。
- 第1段階ではHorizon Europeによる支援を受け、第2段階では審査を経てEIBのベンチャーデット対象となる可能性がある。
- 具体的な量子ビット数、性能指標、HPCへの統合時期、商用システムの提供時期は公表されていない。
技術・事業上の意味
技術面では、トラップドイオン方式で規模拡大の負担となり得るレーザー制御系をオンチップ回路へ移し、半導体製造技術を利用した拡張性を検討する点に意味がある。さらに、量子プロセッサ単体ではなく、欧州のHPC環境に統合する構成を対象としている。 事業面では、EU助成によるロードマップ策定と、EIB融資を通じた産業化支援が段階的に組み合わされている。ただし、今回の発表は商用システムの完成や導入を示すものではなく、QUDORAへの個別支援額や性能目標も明らかになっていない。
今後の注目点
今後は、NEQTARで原理実証や初期プロトタイプがどこまで示され、NFQCの性能と拡張性を判断できる指標が公表されるかが焦点となる。HPCとの接続方式や統合時期が具体化するかに加え、2027年1月以降のEIB審査で融資対象となるかも事業化を測る材料となる。商用展開を評価するには、システム規模や提供時期がロードマップに盛り込まれるかを確認する必要がある。
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