Pasqal、サウジ政府代表団に量子コンピューター製造拠点を公開 複数システム導入構想の直後に
中性原子量子コンピューター中性原子量子コンピューターNeutral Atom Quantum Computer / Neutral-Atom Quantum Computing電荷を持たない原子をレーザーなどで捕捉・配列し、その量子状態を量子ビットとして利用する量子計算方式。QI補足多数の原子を規則的に配置しやすい点が特徴。性能比較では原子数だけでなく、ゲート忠実度や再配置、損失率も確認したい。を開発するPasqalは、サウジアラビアのAbdullah Alswaha通信・情報技術相らによる代表団をフランス本社と製造拠点に迎えた。代表団は量子処理装置量子処理装置量子プロセッサ / Quantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。や原子再配置技術の実演、顧客向けシステムの製造ラインを視察した。
✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。 独自分析を読む ↓
発表概要
代表団には、Abdullah Alswaha通信・情報技術相、Prince Abdulaziz Bin Turki Bin Talal、通信・宇宙・技術委員会(CST)のHaytham AlOhali総裁、HUMAINでAIインフラ・クラウドを担当するSaeed AlDobas上級副社長が参加した。 Pasqalは、量子処理装置と原子を一つずつ再配置する技術を実演した。同社はこの技術を使い、中性原子量子コンピューターの中核となる原子レジスターを構築、再構成している。代表団は、顧客向けシステムの組み立て、校正、試験を行う製造ラインやエンジニアリング部門も視察した。 今回の訪問に先立ち、Pasqalは2026年初めにSaudi Aramcoのデータセンターへサウジアラビア初の量子コンピューターを導入した。また、Eleven Venturesとは、サウジアラビアと中東・北アフリカ地域で量子コンピューティングを展開する商業合弁事業の設立で合意している。これらの取り組みは、先進コンピューティングを国家技術の優先分野とするサウジアラビアの「Vision 2030」に位置付けられている。
重要ポイント
- サウジアラビアの通信・情報技術相らが、Pasqalのフランス本社と量子コンピューター製造拠点を訪問した
- 中性原子を一つずつ再配置し、原子レジスターを構築・再構成する技術が実演された
- 代表団はシステムの組み立て、校正、試験を担う製造ラインを視察した
- 訪問はSaudi Aramcoへの量子コンピューター導入と、Eleven Venturesとの商業合弁事業設立合意に続く動きである
技術・事業上の意味
製造ラインで組み立てから校正、試験、顧客向け出荷までを担う体制は、Pasqalが中性原子量子コンピューターを研究段階にとどめず、実運用環境へ展開しようとしていることを示す。事業面では、Saudi Aramcoへの導入と合弁事業の設立合意を背景に、サウジアラビアを足掛かりとした中東・北アフリカ地域での展開を進める動きと位置付けられる。一方、今回の発表ではシステムの量子ビット量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。数や性能、導入規模、商用収益、合弁事業の投資額と始動時期は示されていない。
今後の注目点
今後は、Saudi Aramcoに導入したシステムの利用状況や具体的な用途、性能に関する情報が示されるかが焦点となる。Eleven Venturesとの合弁事業についても、設立時期や投資規模、提供地域などの具体化が事業展開を判断する材料となる。加えて、サウジアラビアやMENA地域で新たな導入案件が続くか、製造・保守体制を現地でどのように整えるかが重要である。
✍️ Quantum Indexの視点
今回の視察は、Pasqalがサウジアラビアで進める商業展開の具体化過程として見るべきだ。3日前にはEleven Venturesと複数量子システムの導入を掲げる合弁事業で合意しており、今回、その関係者が製造、校正、試験工程まで確認した。
導入先として注目したいのが、Shaheen IIIを擁するKAUSTのような大規模研究・HPC拠点だ。KAUSTではこれまでPasqalに加え、中性原子方式中性原子方式中性原子量子コンピューター / Neutral Atom Quantum Computer / Neutral-Atom Quantum Computing電荷を持たない原子をレーザーなどで捕捉・配列し、その量子状態を量子ビットとして利用する量子計算方式。QI補足多数の原子を規則的に配置しやすい点が特徴。性能比較では原子数だけでなく、ゲート忠実度や再配置、損失率も確認したい。のplanqcやフォトニック方式のXanaduなど量子ハードウェア企業による技術紹介が行われている。これは特定ベンダーの採用を意味しないが、同大学が複数方式・複数企業との接点を持ちながら量子計算基盤を検討できる環境にあることは読み取れる。
Pasqalにとって重要なのは、政府との関係や製造ライン視察そのものではなく、こうした研究機関を含めAramco以外へ実機展開を広げられるかだ。JVが掲げる複数システムの具体的な導入先が明らかになれば、MENA事業が構想から実需へ移ったかを判断しやすくなる。
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