Infleqtion、国内初のフルスタック中性原子量子コンピューター「Shunkai」の稼働を支援
Infleqtionは、自然科学研究機構・分子科学研究所(IMS)の大森賢治教授が率いる研究チームと協力し、フルスタック中性原子量子コンピューター中性原子量子コンピューターNeutral Atom Quantum Computer / Neutral-Atom Quantum Computing電荷を持たない原子をレーザーなどで捕捉・配列し、その量子状態を量子ビットとして利用する量子計算方式。QI補足多数の原子を規則的に配置しやすい点が特徴。性能比較では原子数だけでなく、ゲート忠実度や再配置、損失率も確認したい。「Shunkai」の立ち上げを支援した。同社発表によると、日本で初めて稼働する同方式のフルスタック量子コンピューターであり、当初は約50量子ビット量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。で運用する。
✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。 独自分析を読む ↓
発表概要
Infleqtionは「Shunkai」に量子処理ユニットを提供し、研究開発段階から運用可能な量子計算基盤への移行に関与した。同社は、科学技術振興機構(JST)の量子ムーンショット計画に選定された唯一の国外量子技術パートナーだとしている。 「Shunkai」は当初約50量子ビットで稼働し、開発の進展に伴って約500量子ビットへ拡張する計画である。2026年4月に始まったプロジェクトの次期段階では、システム統合、安定性、拡張性の改善に取り組む。 長期的には、最大1万物理量子ビット物理量子ビットPhysical Qubit量子プロセッサ上で実際に作られ、操作される個々の量子ビット。論理量子ビットを構成するためにも使われる。QI補足搭載数が多くても、そのまま実用計算能力を意味しない。誤り率や接続性、論理量子ビットに必要な個数も重要になる。と量子誤り検出・訂正機能を備えた中性原子方式の耐故障量子コンピューターを目標とする。外部利用者への提供も計画されているが、開始時期や利用条件、具体的な性能指標は明らかにされていない。
重要ポイント
- Infleqtionの発表によれば、「Shunkai」は日本初の稼働中のフルスタック中性原子量子コンピューターである。
- Infleqtionが量子処理ユニットを提供し、IMSの大森賢治教授の研究グループとシステム構築を進めた。
- 初期構成は約50量子ビットで、今後は約500量子ビットへの拡張を計画している。
- 次期段階では、最大1万物理量子ビットと量子誤り検出・訂正機能の実現、外部利用者への提供を目標とする。
技術・事業上の意味
本件は、中性原子方式の量子コンピューターを研究開発からフルスタックの運用段階へ移した事例と位置付けられる。技術面では、量子処理ユニット単体ではなく、システム統合や安定運用、規模拡大に取り組むための国内基盤となる。事業・利用面では、外部提供が実現すれば学術界と産業界によるアプリケーション開発や量子誤り訂正量子誤り訂正Quantum Error Correction / QEC複数の物理量子ビットに情報を分散して持たせ、量子状態を直接壊さずにエラーを検出・訂正する技術。QI補足実施しただけで実用的な耐障害性が得られるわけではない。論理エラー率が物理エラー率より改善しているかが重要になる。研究の利用環境になり得る。一方、約500量子ビットへの拡張や最大1万物理量子ビット、誤り訂正機能は今後の目標であり、現時点の達成実績ではない。
今後の注目点
まず、初期の約50量子ビット構成から約500量子ビットへ拡張する過程で、安定運用とシステム統合の成果が示されるかが焦点となる。最大1万物理量子ビットという規模だけでなく、量子誤り検出・訂正を実機上でどこまで実装できるかも重要だ。外部提供については、開始時期や利用条件、利用者による研究・アプリケーション開発の事例が具体化するかが判断材料となる。
✍️ Quantum Indexの視点
今回の発表で重要なのは、約50物理量子ビット物理量子ビットPhysical Qubit量子プロセッサ上で実際に作られ、操作される個々の量子ビット。論理量子ビットを構成するためにも使われる。QI補足搭載数が多くても、そのまま実用計算能力を意味しない。誤り率や接続性、論理量子ビットに必要な個数も重要になる。という規模そのものではなく、中性原子方式中性原子方式中性原子量子コンピューター / Neutral Atom Quantum Computer / Neutral-Atom Quantum Computing電荷を持たない原子をレーザーなどで捕捉・配列し、その量子状態を量子ビットとして利用する量子計算方式。QI補足多数の原子を規則的に配置しやすい点が特徴。性能比較では原子数だけでなく、ゲート忠実度や再配置、損失率も確認したい。をQPUQPU量子プロセッサ / Quantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。単体の研究から、制御系やソフトウェアを含むフルスタックの運用基盤へ移した点にある。InfleqtionがQPUスタックを、日立製作所がソフトウェアスタックを担い、IMSを中心にシステムとして統合している。Infleqtionは現行「Shunkai」のQPUを担うが、約500物理量子ビットへの拡張や最大1万物理量子ビット、量子誤り検出・訂正は今後の目標であり、現在の性能を示す実績ではない。
もう一つ見逃せないのが、Shunkaiの将来のアップグレードや社会実装でYaqumoとの連携が予定されている点だ。大森賢治教授はYaqumoの共同創業者・Executive Advisorでもあり、同社は大森研などの研究成果を基盤に中性原子量子コンピューターの開発を掲げる。一方、Infleqtion側の発表ではYaqumoへの言及はなく、将来のQPU開発をどちらが担うのかは明らかになっていない。
したがって、今回をInfleqtionが国内中性原子量子コンピューターの基盤を長期的に担うと評価するのはまだ早い。今後は、約500物理量子ビット以降もInfleqtionのQPUが採用されるのか、Yaqumoがどの段階からハードウェア開発に関与するのか、さらに物理量子ビット数だけでなく論理量子ビット論理量子ビットLogical Qubit複数の物理量子ビットと量子誤り訂正を使い、エラーから保護された1つの量子ビットとして扱う情報単位。QI補足「論理量子ビットを作った」だけでFTQCが完成したとは限らない。論理エラー率や演算性能、スケール可能性を確認したい。数や論理エラー率など、誤り訂正の実効性能が示されるかが重要な評価軸になる。
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