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QunaSysと三菱電機、量子CAEへ基盤技術 大規模行列の処理量削減と回路設計を安定化

QunaSysと三菱電機は、製品設計や性能評価に使うCAEへの量子コンピュータ活用に向け、2つの基盤アルゴリズムを共同開発した。大規模な行列データの処理量スループット / Throughput一定時間あたりに処理できる仕事量を示す指標。量子計算では、回路やジョブをどれだけ速く繰り返し実行できるかなどを表す。QI補足スループットの定義や単位は企業・システムごとに異なる。比較する際は、単なる実行回数だけでなく、回路規模や精度、待ち時間などの条件も確認したい。削減と、量子回路Quantum Circuit量子ビットに対する初期化、量子ゲート操作、測定などを順番に並べ、量子コンピュータで実行する計算手順を表したもの。QI補足同じアルゴリズムでも、使用する量子ビット数や回路深度、ゲート数は実装によって変わる。実機性能を比べる際は、回路の規模やコンパイル後の条件も確認したい。設計に必要なパラメーターの安定化をそれぞれ目指す。

✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。 独自分析を読む ↓

発表概要

CAEは、流体、熱、構造、電磁界などの物理現象をコンピュータ上で再現し、製品の設計や性能評価に用いる技術である。今回の共同開発では、CAEで扱う大規模行列計算に量子コンピュータを適用する際の処理量と計算精度に着目した。 第1のアルゴリズムは、大規模な行列データを量子コンピュータで効率的に処理できる形に整理し、量子計算に必要な処理量を削減する。第2のアルゴリズムは、量子回路設計に必要なパラメーターを安定して求め、計算精度の向上につなげる。 両社は将来の用途として、製品設計の初期段階における多数の条件比較や、複雑な物理現象を考慮した高精度な性能評価を挙げている。成果の一部は、科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業(目標6)によるものである。

重要ポイント

  • QunaSysと三菱電機が、CAEへの量子コンピュータ活用に向けた基盤アルゴリズムを共同開発した
  • 大規模な行列データを量子計算向けに整理し、必要な処理量を削減するアルゴリズムを開発した
  • 量子回路設計のパラメーターを安定して求め、計算精度の向上につなげるアルゴリズムも開発した
  • 対象には流体、熱、構造、電磁界などのシミュレーションが含まれる
  • 成果の一部はJSTのムーンショット型研究開発事業(目標6)によるものである

技術・事業上の意味

技術面では、CAEの中核となる大規模行列計算について、量子計算の処理量と精度という2つの課題に対応する基盤を示した点に意味がある。事業面では、製造業の設計条件比較や性能評価を量子コンピュータの応用候補として具体化した。ただし、量子実機での性能や従来計算に対する優位性、導入時期は発表されておらず、現段階では実用化に向けた基盤技術の開発と位置付けられる。

今後の注目点

今後は、量子実機を使った場合の処理量と計算精度が定量的に示されるかが焦点となる。従来のCAE手法との比較に加え、流体や構造など具体的な問題で適用できる規模と条件を見極める必要がある。製造現場を想定した検証や導入事例へ進むかも、事業化の判断材料となる。

✍️ Quantum Indexの視点

三菱電機は量子CAEQuantum CAE / Quantum Computer-Aided EngineeringCAEで行うシミュレーションや最適化などの計算に、量子コンピュータや量子アルゴリズムを活用する考え方。QI補足現時点では特定の確立した計算手法を指すというより、構造解析や設計最適化などへの量子計算の適用を広く扱う枠組み。発表を見る際は、量子計算を使った部分と実際の高速化・有効性の検証範囲を確認したい。を一時的な研究テーマとして扱っているわけではなさそうだ。2026年6月にはQuantinuumとも、CFDを含むCAEへの量子コンピューティング活用を検討するMOUを締結した(Quantinuum側のリリース)。今回のQunaSysとの成果を合わせると、将来のゲート型量子コンピューター量子ビットに量子ゲートを順番に作用させて計算する方式。量子回路を組み立ててアルゴリズムを実行する、代表的な量子計算モデル。QI補足量子アニーリングなどとは計算方式が異なる。「ゲート方式」というだけで汎用・大規模な実用計算が可能とは限らず、量子ビット数や誤り率、回路の深さも重要になる。を製品設計へ使うための技術を継続的に押さえにいく姿勢が見える。

ただ、量子CAE、とりわけ流体計算の実用性は慎重に見る必要がある。流体解析は線形方程式を一度高速に解けば終わるわけではなく、非線形性や時間発展を伴う反復計算が必要になる。古典データの量子状態への入力や計算結果の読み出しまで含めれば、量子アルゴリズム内部の高速化が、そのままCAE全体の高速化になるとは限らない。

さらに、製品開発を速くする方法は「CAEを1回速く解く」ことだけではない。設計最適化では、CAEを何度も実行しながら設計条件を探索するため、「何回CAEを実行するか」も総計算時間を大きく左右する。マツダとFixstars Amplifyの公開事例では、複数車種の車体設計について、従来1万~3万回程度必要だった試行回数を約1,000回まで削減し、同等以上の解を得たとしている。CAEそのものは変えず、「次にどの設計を試すか」を改善するアプローチだ。

これは量子CAEを評価するうえで重要な比較軸になる。量子ハードウェアが実用域に達するまでにも、GPU、HPC、数値解法、AIによるサロゲートモデルや最適化技術は進歩する。製品開発全体の高速化が目的なら、「1回を速くする」のか「試す回数を減らす」のかを同じテーブルで比較する必要がある。

今回の基盤アルゴリズムの価値も、将来的には量子回路Quantum Circuit量子ビットに対する初期化、量子ゲート操作、測定などを順番に並べ、量子コンピュータで実行する計算手順を表したもの。QI補足同じアルゴリズムでも、使用する量子ビット数や回路深度、ゲート数は実装によって変わる。実機性能を比べる際は、回路の規模やコンパイル後の条件も確認したい。内の処理量スループット / Throughput一定時間あたりに処理できる仕事量を示す指標。量子計算では、回路やジョブをどれだけ速く繰り返し実行できるかなどを表す。QI補足スループットの定義や単位は企業・システムごとに異なる。比較する際は、単なる実行回数だけでなく、回路規模や精度、待ち時間などの条件も確認したい。削減だけでは測れない。状態準備、時間発展、測定まで含めたend-to-endの計算時間が、その時点のGPU/HPCを上回れるか。量子CAEが実用技術になるためのハードルは、そこにある。

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出典

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