Rigetti、米商務省と1億ドルの最終契約 量子機大規模化へ読み出し・冷却・製造を強化
Rigetti Computingの完全子会社Rigetti & Co, LLCは、超伝導量子コンピューティングの研究開発に対する1億ドルの資金提供について、米商務省と最終契約を締結した。大規模化のボトルネックとなる読み出し電子機器、極低温設備、高接続性チップの製造能力を対象に3件のプロジェクトを進める。
✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。 独自分析を読む ↓
発表概要
資金は、CHIPS法に基づくCHIPS Research and Development Officeの公募制度を通じて配分される。 第1のプロジェクトでは、読み出し電子機器を小型の統合パッケージに集約する。第2では、新たなクライオスタット構成によって極低温能力を大幅に拡張する。第3では、高接続性チップ構成に対応する製造能力を開発する。 資金提供の条件として、米商務省はRigettiの少数・非支配持分を取得する。資金交付の日程、各プロジェクトの達成時期、技術目標の定量値は発表されていない。
重要ポイント
- 米商務省による資金提供額は1億ドルで、超伝導量子コンピューティングの研究開発に充てられる
- 読み出し電子機器の統合と小型化に取り組む
- 新たなクライオスタット構成により極低温能力の大幅な拡張を目指す
- 高接続性チップ構成に対応する製造能力を開発する
- 米商務省は資金提供の条件としてRigettiの少数・非支配持分を取得する
技術・事業上の意味
今回の支援は量子プロセッサー量子プロセッサー量子プロセッサ / Quantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。単体ではなく、読み出し、冷却、製造という超伝導量子コンピューター超伝導量子コンピューター超伝導方式 / Superconducting Quantum Computing / Superconducting Qubit超伝導回路を極低温で動作させ、電気的な量子状態を量子ビットとして利用する量子コンピュータの実装方式。QI補足高速なゲート操作などが特徴だが、性能は量子ビット数だけでは決まらない。ゲート忠実度、コヒーレンス時間、接続性、誤り訂正への対応も確認したい。の大規模化を左右する基盤部分を対象としている。3件の研究開発が進めば、Rigettiのシステム拡張に向けた技術基盤を強化する可能性がある。 事業面では、1億ドルが同社の研究開発ロードマップを進める資金となる。一方、米商務省への持分付与に伴い、既存株主の持分が希薄化希薄化Dilution / Shareholder Dilution / Equity Dilution新株発行などによって株式数が増え、既存株主の持分比率や1株あたりの価値が相対的に低下すること。QI補足資金調達による新株発行やストックオプションなどで起こり得る。調達額だけでなく、発行後の株式数や既存株主の持分変化も確認したい。する可能性もある。
今後の注目点
今後は、読み出し機器の小型化率、クライオスタットの収容能力、高接続性チップの製造実績など、3件の成果を示す定量的な指標が公表されるかが焦点となる。資金の交付時期や達成条件に加え、米商務省が取得する持分の規模も事業上の判断材料となる。さらに、開発成果がRigettiの量子システムやロードマップにどのように反映されるかを見極める必要がある。
✍️ Quantum Indexの視点
今回の1億ドル支援で注目すべきなのは、量子プロセッサー量子プロセッサー量子プロセッサ / Quantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。そのものではなく、読み出し・冷却・製造という大規模化に伴って重要性が増す周辺技術が対象になっている点だ。Rigettiはすでに108物理量子ビット機を実現しているが、2量子ビット量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。ゲート忠実度ゲート忠実度Gate Fidelity / Quantum Gate Fidelity量子ゲート操作が、理想的な操作にどれだけ近く実行できたかを示す精度の指標。QI補足高いほど一般に良いが、測定方法や1量子ビット・2量子ビットゲートで値は異なる。比較時は評価条件も確認したい。は9量子ビット機の99.8%、36量子ビット機の99.6%に対し、108量子ビット機では99.1%だった。規模を増やしながら性能を維持する難しさが表れている。
今回の3プロジェクトは、その課題を量子チップ単体ではなくシステム全体から解こうとするものと見ることができる。約1,000量子ビットへの拡張には、読み出し装置の小型化、より大きな冷却能力、高接続性チップを安定して製造する能力が必要になる。ただし、108量子ビット機の性能と今回の支援対象の間に直接的な因果関係があるかは、発表資料からは判断できない。
したがって、1億ドルをそのまま量子コンピューターの性能向上と評価する段階ではない。今後見るべきなのは、3件の研究開発によって実際にどこまでシステムを大型化できるか、そして規模を拡大しながらゲート忠実度や稼働性能を維持・改善できるかである。
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