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QuEra調査、量子技術の評価軸は「量子ビット数」からQEC・論理性能へ IBMにも共通する転換

QuEra Computingが公表した「2026 Quantum Readiness Survey」によると、量子技術の選定では、量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。数の拡大よりも量子誤り訂正Quantum Error Correction / QEC複数の物理量子ビットに情報を分散して持たせ、量子状態を直接壊さずにエラーを検出・訂正する技術。QI補足実施しただけで実用的な耐障害性が得られるわけではない。論理エラー率が物理エラー率より改善しているかが重要になる。論理量子ビットLogical Qubit複数の物理量子ビットと量子誤り訂正を使い、エラーから保護された1つの量子ビットとして扱う情報単位。QI補足「論理量子ビットを作った」だけでFTQCが完成したとは限らない。論理エラー率や演算性能、スケール可能性を確認したい。、耐障害性への具体的な道筋を重視する傾向が示された。ただし、有望な量子計算方式については評価が分かれている。

✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。 独自分析を読む ↓

発表概要

調査では、回答者の45%が量子技術を選ぶ際の重要基準として、耐障害性に向けた明確なロードマップを挙げた。対象用途で商業的価値を実現するうえで、量子誤り訂正が不可欠または非常に重要だとした回答は78%だった。一方、ハードウェアの拡張や量子ビット数の増加を重視した回答は5件、4%にとどまった。 量子計算方式では、中性原子が23%、超伝導量子ビット超伝導方式 / Superconducting Quantum Computing / Superconducting Qubit超伝導回路を極低温で動作させ、電気的な量子状態を量子ビットとして利用する量子コンピュータの実装方式。QI補足高速なゲート操作などが特徴だが、性能は量子ビット数だけでは決まらない。ゲート忠実度、コヒーレンス時間、接続性、誤り訂正への対応も確認したい。が15%、イオントラップが11%だった。ただし、34%は実用的で拡張可能な用途に最も有望な方式を判断するには時期尚早と回答しており、特定方式への明確な合意は形成されていない。技術選定の基準では、費用対効果が50%で最多となった。 調査は2026年1月にオンラインで実施され、25カ国超の学術機関、量子技術企業、利用組織、政府関係者などから291件の完全回答を得た。QuEraが委託した自己選択式の調査であり、回答者は一般的な企業層より技術・研究志向が強い。このため、結果は量子技術に関心の高い関係者の見方として捉える必要がある。

重要ポイント

  • 45%が、耐障害性に向けた明確なロードマップを量子技術選定の重要基準に挙げた。
  • 78%が、量子誤り訂正を商業的価値の実現に不可欠または非常に重要と評価した。
  • 有望な方式では中性原子が23%で最多だったが、34%は方式の優劣を判断するには早いと回答した。
  • 技術選定では費用対効果が50%で最も重視され、物理量子ビットPhysical Qubit量子プロセッサ上で実際に作られ、操作される個々の量子ビット。論理量子ビットを構成するためにも使われる。QI補足搭載数が多くても、そのまま実用計算能力を意味しない。誤り率や接続性、論理量子ビットに必要な個数も重要になる。数の増加を挙げた回答は4%だった。
  • 自由回答では、誤り訂正や論理量子ビットに関する成果が最大のテーマとなり、実質的な回答の33%を占めた。

技術・事業上の意味

技術面では、評価軸が物理量子ビット数の単純な増加から、拡張可能な量子誤り訂正、論理量子ビットの性能、耐障害型計算への道筋へ移りつつあることを示す。事業面では費用対効果が最重視されており、各方式の開発企業には、性能だけでなく商業利用までのコストや実装可能性を具体的に示すことが求められる。ただし、本調査だけで中性原子を含む特定方式の優位性を結論付けることはできない。

今後の注目点

今後は、各社の耐障害性ロードマップに、量子誤り訂正の拡張性や論理量子ビット性能を判断できる具体的な指標が示されるかが焦点となる。方式間の費用対効果を比べられる条件や、実用用途での採用・検証事例が公開されるかも重要である。また、より幅広い回答者を対象とした独立調査でも同様の傾向が得られるかを見極める必要がある。

✍️ Quantum Indexの視点

今回の調査で重要なのは、物理量子ビットPhysical Qubit量子プロセッサ上で実際に作られ、操作される個々の量子ビット。論理量子ビットを構成するためにも使われる。QI補足搭載数が多くても、そのまま実用計算能力を意味しない。誤り率や接続性、論理量子ビットに必要な個数も重要になる。数の拡大そのものより、「そのハードウェアでどこまで信頼できる計算を実行できるか」が技術選定の軸になりつつある点だ。耐障害性への明確なロードマップを45%、量子誤り訂正Quantum Error Correction / QEC複数の物理量子ビットに情報を分散して持たせ、量子状態を直接壊さずにエラーを検出・訂正する技術。QI補足実施しただけで実用的な耐障害性が得られるわけではない。論理エラー率が物理エラー率より改善しているかが重要になる。の重要性を78%が挙げた一方、ハードウェアの拡張や量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。数の増加を重視した回答は4%にとどまった。少なくとも量子技術への関心が高い回答者の間では、物理量子ビット数だけを見る評価から、論理量子ビットLogical Qubit複数の物理量子ビットと量子誤り訂正を使い、エラーから保護された1つの量子ビットとして扱う情報単位。QI補足「論理量子ビットを作った」だけでFTQCが完成したとは限らない。論理エラー率や演算性能、スケール可能性を確認したい。、エラー率、実行可能な計算規模へ関心が移っていることが読み取れる。

この変化はQuEra自身のロードマップにも表れている。同社は256物理量子ビットのアナログ機Aquilaから、ゲート型でQECテストベッドとなるGeminiへ進み、2028年には256論理量子ビット、論理エラー率10⁻⁶を目標とするLibra、その後は1,000超の論理量子ビットと10⁻⁹の論理エラー率を掲げる次世代機を計画する。Libraでは約100万回、次世代機では約10億回の信頼できる論理演算を想定しており、訴求する数字そのものが物理量子ビット数から論理計算能力へ変わっている。なお、Libra以降は現時点で達成済みの性能ではなくロードマップ上の目標値である。

システム状況位置付け物理量子ビット論理量子ビット実用性能を示す主な指標
Aquila2022年稼働NISQNoisy Intermediate-Scale Quantum / NISQ誤り訂正が十分でない、数十〜数千規模程度のノイズを含む量子デバイスや、その技術段階を表す呼称。QI補足厳密な量子ビット数で区切られる分類ではない。FTQC以前の装置を広く指すため、具体的なエラー率や実行可能な回路を見る必要がある。・アナログ256物理量子ビット規模
Gemini2025年稼働ゲート型/QECテストベッド260100未満のテスト環境2量子ビットゲート忠実度Gate Fidelity / Quantum Gate Fidelity量子ゲート操作が、理想的な操作にどれだけ近く実行できたかを示す精度の指標。QI補足高いほど一般に良いが、測定方法や1量子ビット・2量子ビットゲートで値は異なる。比較時は評価条件も確認したい。99.2%、QEC検証
Libra2028年予定Megaquop級・耐障害型10,000超256論理エラー率10⁻⁶、約100万論理演算を目標
Next Gen2028~29年予定Gigaquop級・耐障害型20,000超1,000超論理エラー率10⁻⁹、約10億論理演算を目標

QuEraだけの動きでもない。超伝導方式Superconducting Quantum Computing / Superconducting Qubit超伝導回路を極低温で動作させ、電気的な量子状態を量子ビットとして利用する量子コンピュータの実装方式。QI補足高速なゲート操作などが特徴だが、性能は量子ビット数だけでは決まらない。ゲート忠実度、コヒーレンス時間、接続性、誤り訂正への対応も確認したい。のIBMも、1,121量子ビットのCondorまで単一チップの大型化を進めた後、HeronやNighthawkでは量子ビット数だけでなく、ゲート品質、接続性、実行可能な回路規模、処理速度といった「実際にどれだけ計算できるか」に重点を移している。2026年のNighthawk r2も120量子ビットという規模自体ではなく、高速リセットによって毎秒10万回超の回路実行を可能にし、Heron比で最大25倍のスループットThroughput一定時間あたりに処理できる仕事量を示す指標。量子計算では、回路やジョブをどれだけ速く繰り返し実行できるかなどを表す。QI補足スループットの定義や単位は企業・システムごとに異なる。比較する際は、単なる実行回数だけでなく、回路規模や精度、待ち時間などの条件も確認したい。を実現した点を前面に出す。7,500ゲート超の回路実行や、回路途中のリセットによるQECへの対応も同じ方向性にある。

ただし、QuEraとIBMが同じ指標に収れんしているわけではない。QuEraは将来の耐障害型計算を見据え、論理量子ビット数や論理エラー率、実行可能な論理演算数を強く打ち出す。一方、IBMは現行機でも測定可能な回路規模、接続性、ゲート品質、スループットなどを改善している。共通しているのは、「何個の量子ビットを搭載したか」だけでは実用性能を説明できないという認識だ。今後は各社が異なる指標を掲げるほど、数字の大きさよりも、その指標が実際のアプリケーション性能とどう結びつくかを確認する必要がある。

その意味で、今回の調査で費用対効果を50%が選定基準に挙げたことも重要だ。論理量子ビットやスループットが改善しても、それを実現するための物理量子ビット数、制御設備、誤り訂正オーバーヘッド、計算時間、利用コストが大きければ商業価値には直結しない。量子ハードウェアの競争は、単純な「量子ビット数競争」から、一定の資源と時間でどれだけ大規模かつ信頼できる計算を完了できるかという、より計算機らしい性能競争へ移りつつあると見る方が実態に近い。

一方、中性原子を最も有望とした23%を、QuEra方式の優位性と読むのは難しい。調査は中性原子方式中性原子量子コンピューター / Neutral Atom Quantum Computer / Neutral-Atom Quantum Computing電荷を持たない原子をレーザーなどで捕捉・配列し、その量子状態を量子ビットとして利用する量子計算方式。QI補足多数の原子を規則的に配置しやすい点が特徴。性能比較では原子数だけでなく、ゲート忠実度や再配置、損失率も確認したい。を開発するQuEraが委託した自己選択式であり、34%は方式の優劣を判断するにはまだ早いとしている。今後の評価を左右するのは、各社が掲げる論理エラー率、回路規模、スループットなどが第三者や顧客の実機利用でも確認され、それらを共通条件でコストやアプリケーション性能まで比較できるようになるかだ。

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出典

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