OptQCがシリーズA2で70億円を調達、1万量子ビット規模の光量子プロセッサ開発へ
OptQCは2026年8月25日、NTTをリード投資家とする第三者割当増資により、シリーズA2で総額70億円を調達したと発表した。調達資金を、現行機比100倍規模の計算性能と1万量子ビット量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。規模を目指す次世代光量子プロセッサ量子プロセッサQuantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。の開発、人材採用に充てる。
✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。 独自分析を読む ↓
発表概要
今回のラウンドには、通信、エレクトロニクス、航空、精密機器、金融、不動産などの事業会社、独立系ベンチャーキャピタル、公的機関を含む計21組織が参加した。2025年のシードラウンドとシリーズA1を合わせた累計調達額は91.5億円となり、獲得済みの補助金を含む累計資金額は200億円を超えた。 OptQCは、2026年7月から稼働する第1世代機に続く次世代プロセッサへ投資する。常温・常圧動作を維持しながら量子ビット数を拡張し、計算性能を現行機の100倍規模へ高め、1万量子ビット規模を目指すとしている。 採用面では、量子光学、電気回路、機械工学、制御工学、ソフトウェア・アルゴリズム開発に携わる研究者やエンジニアに加え、事業開発人材の確保を進める。NTTとは本ラウンドに先立って資本業務提携契約を締結しており、誤り耐性型光量子コンピュータ光量子コンピュータ光量子コンピューター / Photonic Quantum Computer / Optical Quantum Computer光子や光の量子状態を情報の担い手として利用し、量子計算を行う量子コンピューター。QI補足光子生成、損失、検出、集積化などが性能を左右する。量子ビット数だけでなく、損失率や光源・検出器の性能も見たい。の実用化に向けた協業を進めている。
重要ポイント
- シリーズA2で70億円を調達し、NTTをリード投資家として計21組織が参加した
- 過去の資金調達を含む累計調達額は91.5億円で、補助金を含む累計資金額は200億円を超えた
- 次世代機では現行機比100倍規模の計算性能と1万量子ビット規模を目標とする
- 調達資金をプロセッサの研究開発と、技術・事業開発人材の採用に充てる
- NTTとの資本業務提携を通じ、誤り耐性型光量子コンピュータの実用化に向けた協業を進める
技術・事業上の意味
技術面では、光量子プロセッサを常温・常圧で大規模化するための研究開発資金を確保した点が重要である。ただし、1万量子ビット規模や現行機比100倍という目標の達成時期、評価方法、誤り耐性の具体的な水準は示されていない。事業面では幅広い業界の投資家が参加し、知見や実証環境を活用した連携の可能性が生じた一方、具体的な共同事業や商用化の時期は未定である。
今後の注目点
次世代プロセッサについて、1万量子ビット規模と現行機比100倍をどの時期に、どの評価条件で達成するかが主要な観測点となる。常温・常圧を維持した大規模化に加え、誤り耐性型計算へつながる性能指標が示されるかも重要である。事業面では、NTTとの協業内容や、参加企業の実証環境を使った開発・導入案件が具体化するかを見極める必要がある。
✍️ Quantum Indexの視点
今回の70億円調達は、OptQCが日本発の量子ハードウェア企業として、研究開発だけでなく世界の量子ハードウェア開発を意識したスケール競争に入ったこと、その覚悟を示す。実機稼働、大型調達、NTTとの資本業務提携が揃ったことで国内では存在感が大きく、その分、今後は海外ベンダーと比較可能な成果を示す責任も重くなる。
ただし、海外ではPsiQuantumが10億ドルを調達し、Xanaduは論理GKP量子ビット量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。によるリアルタイム誤り訂正まで公表するなど、競争は資金額や物理量子ビット物理量子ビットPhysical Qubit量子プロセッサ上で実際に作られ、操作される個々の量子ビット。論理量子ビットを構成するためにも使われる。QI補足搭載数が多くても、そのまま実用計算能力を意味しない。誤り率や接続性、論理量子ビットに必要な個数も重要になる。数だけでは測れない段階に進んでいる。OptQCの「1万量子ビット」「現行機比100倍」も現時点では目標値であり、NTTとの100万量子ビット級構想も2030年度を見据えたロードマップだ。
次に問われるのは、量子ビット数の拡大そのものより、損失やエラー率、実行可能な計算規模、稼働率、さらに誤り耐性へつながる性能をどこまで具体的に示せるかだ。こうした指標が明らかになれば、OptQCを「日本で有力な量子スタートアップ」という枠を超え、世界の光量子ハードベンダーと同じ土俵で評価しやすくなる。
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