Xanadu、2026年第2四半期は売上高150万ドル フォトニック部品とQROMを改良
Xanadu Quantum Technologiesは2026年第2四半期決算を発表した。売上高は150万ドル、純損失は4,210万ドルで、期末の現金および現金同等物は3億1,280万ドルとなった。技術面ではフォトニック部品の結合損失を低減し、Quantum Read-Only Memory(QROM)に必要なToffoliゲート演算を約半減する手法をPennyLanePennyLanePennyLaneXanaduが開発する、量子回路の構築や実行、量子機械学習などに利用されるオープンソースの量子ソフトウェアライブラリ。QI補足特定の量子ハードウェア専用ではなく、複数のデバイスやシミュレータと連携できる。実証では使用したバックエンドを確認したい。へ実装した。
発表概要
売上高は前年同期の110万ドルから増加した一方、前四半期の280万ドルから減少した。前年同期比の増収は主にDARPA Stage Bの収益によるものだ。研究開発費は1,970万ドル、一般管理費は約1,110万ドルで、調整後EBITDA調整後EBITDAAdjusted EBITDAEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)から、一時的費用や株式報酬など、企業が指定する項目をさらに除外・調整した利益指標。QI補足調整内容に統一基準がなく、企業間で単純比較しにくい。何を除外したか、GAAP利益との差がどれほどあるかを確認したい。損失は2,130万ドルとなった。調整後EBITDAは非GAAP指標GAAP指標GAAP Measure / GAAP Financial Measure米国会計基準などのGAAPに従って算出・表示される売上高、純利益などの財務指標。QI補足企業独自の調整を加えた非GAAP指標との比較で重要になる。決算では両者の差額と除外項目を確認したい。である。 2026年6月末の現金および現金同等物は3億1,280万ドルだった。XanaduはYorkville Advisorsとの最大3億ドルの合成ATM株式枠を通じ、当四半期に550万株を平均手取り価格12.28ドルで売却し、6,720万ドルを調達した。 ハードウェアでは、平均端面結合損失を1面当たり0.085dBに低減した。薄膜ニオブ酸リチウムのファウンドリー製造回数を約75%、窒化ケイ素では約50%増やしたとしている。 ソフトウェアでは、QROMに必要なToffoliゲート演算を約半減する手法を特許出願し、PennyLaneで提供した。PennyLane 0.45とCatalyst 0.15も公開したほか、100万超のパラメーターを持つフーリエベースの量子機械学習モデルを訓練した。 事業面では、Oak Ridge National Laboratoryのスーパーコンピューター「Frontier」へのPennyLane導入に向けた提携や、Rolls-Royceとの数値流体力学・空気力学に関する複数年協力の再契約などを発表した。ニューヨーク州Albanyを軸とした米国事業の拡大も進めている。
重要ポイント
- 売上高は150万ドルで前年同期の110万ドルを上回ったが、前四半期の280万ドルから減少した。
- 純損失は4,210万ドル、調整後EBITDA損失は2,130万ドル、研究開発費は1,970万ドルとなった。
- 期末の現金および現金同等物は3億1,280万ドルで、合成ATM株式枠から6,720万ドルを調達した。
- フォトニック部品の平均端面結合損失を1面当たり0.085dBに低減し、主要材料の製造回数を増やした。
- QROMのToffoliゲート演算を約半減する手法をPennyLaneへ実装した。
技術・事業上の意味
端面結合損失の低減と製造回数の増加は、フォトニック量子コンピューターフォトニック量子コンピューター光量子コンピューター / Photonic Quantum Computer / Optical Quantum Computer光子や光の量子状態を情報の担い手として利用し、量子計算を行う量子コンピューター。QI補足光子生成、損失、検出、集積化などが性能を左右する。量子ビット数だけでなく、損失率や光源・検出器の性能も見たい。の部品性能と製造能力を並行して強化する動きである。QROMのToffoliゲート削減は、量子アルゴリズムが必要とする計算資源を抑える可能性があり、PennyLaneへの実装によって利用可能な形にした点にも意味がある。一方、研究開発投資の増加に伴って損失は拡大した。株式枠による調達は開発資金を支えるが、追加発行による既存株主の希薄化希薄化Dilution / Shareholder Dilution / Equity Dilution新株発行などによって株式数が増え、既存株主の持分比率や1株あたりの価値が相対的に低下すること。QI補足資金調達による新株発行やストックオプションなどで起こり得る。調達額だけでなく、発行後の株式数や既存株主の持分変化も確認したい。も事業上の判断材料となる。
今後の注目点
技術面では、1面当たり0.085dBの結合損失が製造回数を増やした環境でも維持され、より大きなシステムの性能向上につながるかが焦点となる。QROMのToffoliゲート削減については、実際のアルゴリズム全体でどの程度の資源削減になるかが重要だ。事業面では、FrontierへのPennyLane導入やRolls-Royceなどとの協力が具体的な成果に進むかに加え、今後示される工学・支出指針とATM株式枠の追加利用を見極める必要がある。
✍️ Quantum Indexの視点
Xanaduの売上高は150万ドル(約2.2億円)にとどまり、純損失は4,210万ドルに達した。現時点では、事業収益よりも研究開発と資本市場からの資金調達によって成長を支えている企業と見るべきだろう。
期末現金は3億1,280万ドルと一定の開発余力を確保しているが、その一部はATM株式枠を通じた追加発行によるものだ。今後も開発資金の確保と既存株主の希薄化希薄化Dilution / Shareholder Dilution / Equity Dilution新株発行などによって株式数が増え、既存株主の持分比率や1株あたりの価値が相対的に低下すること。QI補足資金調達による新株発行やストックオプションなどで起こり得る。調達額だけでなく、発行後の株式数や既存株主の持分変化も確認したい。が並行して進む可能性がある。
技術面では、結合損失の低減やQROMのゲート数削減は着実な進展だが、いずれもFTQCFTQCFault-Tolerant Quantum Computing / FTQC量子誤り訂正を用い、物理的なエラーが起きても正しい計算を続けられるようにする、将来の本格的な量子計算の方式。QI補足量子誤り訂正の実証とFTQCの実現は同義ではない。論理エラー率、必要な物理量子ビット数、論理ゲート性能などが重要になる。実現に必要な要素の一つにすぎない。Xanaduを評価する上では、個別技術の改善を、製造歩留まりやシステム規模、エラー率、実行可能な計算へどこまで転換できるかが重要になる。
関連記事
- OptQCとNTTが資本業務提携、2030年度に100万物理量子ビット級の光量子コンピュータを目指す
- OptQC、光量子コンピュータ1号機「MoQuren」を産総研G-QuATで稼働
- 量子企業29社の実力と将来性ランキング【2026年夏版】
