Iqm

IQM、上場後初の決算を発表 受注残高は1億210万ユーロ超

IQM Quantum Computersは、上場後初となる2026年上期および第2四半期の決算を発表した。上期売上高は890万ユーロ、営業損失は6,050万ユーロで、8月3日時点の受注残高受注残 / Backlog / Order Backlogすでに顧客から受注しているものの、まだ納品や売上計上が完了していない契約・注文の金額や数量。QI補足将来の売上を示す手がかりになるが、すべてが確実に売上化するとは限らない。契約条件、納期、キャンセル可能性、売上計上までの期間も確認したい。は1億210万ユーロを超えた。

発表概要

2026年6月30日時点の受注残高は6,910万ユーロだった。その後、新たに3,300万ユーロが加わり、8月3日時点で1億210万ユーロ超となった。7月2日時点の現金残高は、上場による調達資金を含めて3億940万ユーロである。 同社は2026年通期について、新規受注額6,500万〜7,500万ユーロ、売上高4,200万〜4,700万ユーロを目標に掲げた。創業以来の販売実績は26システム、納入実績は17システムで、2026年6月には米エネルギー省のオークリッジ国立研究所へ米国で初めてシステムを納入した。 事業面では、CSCのLUMI AI Factoryに量子コンピューターを統合する案件を獲得したほか、Deutsche Bahnと実運用データを使った量子・古典ハイブリッド型の鉄道スケジューリングを検証した。製造施設には4,000万ユーロ超を投じ、クリーンルーム能力を倍増させて年間最大30台のフルスタック量子コンピューターを生産できる体制を目指す。 技術開発では、IQM Constellationトポロジー向けのqLDPC誤り訂正符号「barbell codes」を開発した。NVIDIAとはAIを用いた量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。の並列較正、HPEとは超伝導量子コンピューター超伝導方式 / Superconducting Quantum Computing / Superconducting Qubit超伝導回路を極低温で動作させ、電気的な量子状態を量子ビットとして利用する量子コンピュータの実装方式。QI補足高速なゲート操作などが特徴だが、性能は量子ビット数だけでは決まらない。ゲート忠実度、コヒーレンス時間、接続性、誤り訂正への対応も確認したい。とHPE Cray HPC基盤の統合に取り組んだ。

重要ポイント

  • 2026年上期の売上高は890万ユーロ、営業損失は6,050万ユーロとなった。
  • 受注残高は6月30日時点の6,910万ユーロから、8月3日時点で1億210万ユーロ超へ増加した。
  • 2026年通期の目標は、新規受注額6,500万〜7,500万ユーロ、売上高4,200万〜4,700万ユーロである。
  • 創業以来、26システムを販売し、17システムを顧客へ納入した。
  • 製造施設へ4,000万ユーロ超を投資し、年間最大30台の生産能力を整備する計画である。

技術・事業上の意味

1億ユーロを超える受注残高と製造能力への投資は、IQMがオンプレミス型量子コンピューターの納入拡大を進めていることを示す。一方、上期売上高890万ユーロに対して営業損失は6,050万ユーロに達しており、受注残を予定通り売上へ転換できるかが事業上の重要点となる。誤り訂正、AIによる較正、HPC統合はシステムの効率やハイブリッド計算基盤への組み込みに関わる取り組みだが、商用性能や収益への寄与は今回の発表では明らかにされていない。

今後の注目点

今後は、1億210万ユーロ超の受注残が納入と売上計上にどの程度つながり、通期売上高目標を達成できるかが焦点となる。年間最大30台を目指す製造能力の増強状況に加え、販売済み26台と納入済み17台の差が縮まるかも判断材料になる。技術面では、誤り訂正やAI較正、HPC統合について、実機での性能や顧客環境での利用成果が示されるかが重要である。

✍️ Quantum Indexの視点

今回の決算で評価すべきなのは、上期売上高890万ユーロという規模そのものより、IQMが量子コンピューターの販売、製造、納入という事業サイクルを実際に回し始めている点だ。創業以来26システムを販売し17システムを納入、受注残Backlog / Order Backlogすでに顧客から受注しているものの、まだ納品や売上計上が完了していない契約・注文の金額や数量。QI補足将来の売上を示す手がかりになるが、すべてが確実に売上化するとは限らない。契約条件、納期、キャンセル可能性、売上計上までの期間も確認したい。も1億ユーロを超えている。量子ハードウェア企業の中では、商用事業の形はかなり見えてきた。

ただし、26台という販売実績をそのまま量子コンピューターの実需拡大と見るのは早い。購入者には研究機関やHPC拠点のほか、日本では販売代理店の東陽テクニカが自らシステムを導入する例もある。市場形成への先行投資として理解できる一方、最終顧客の需要が十分に確認される前に、販売側が設備投資まで引き受けているとも見える。

そもそもクラウド経由で複数の量子ハードウェアを利用できる現在、一般企業がオンプレミス機を保有する理由はまだ限られる。実機を置けば検証や営業には使えるが、それで購入需要まで生まれるとは限らない。市場を開拓するための実機導入が、市場の存在そのものを証明するわけではない。

IQMの販売実績は確かな前進だ。ただ、見るべきなのは台数だけではなく、誰が何の目的で購入しているかである。上期売上高890万ユーロに対して営業損失は6,050万ユーロと依然大きく、今後は1億210万ユーロ超の受注残を売上へ転換しながら、研究・インフラ整備や市場育成を目的とした需要から、エンドユーザーの実需へ広げられるかが焦点になる。

関連記事

出典

発表元の記事を読む

この記事が参考になりましたら、ぜひシェアしてください。
𝕏 この記事をシェア

類似投稿