Rigetti、システム納入の専任組織を新設 COO・CTO体制も再編
Rigetti Computingは、オンプレミス量子システムの導入拡大に対応するため、Systems Delivery組織を新設した。顧客への納入・支援と量子プロセッサ量子プロセッサQuantum Processor / Quantum Processing Unit / QPU量子ビットを搭載し、量子ゲートや測定などの量子計算処理を実行するハードウェアの中核部分。QI補足QPUの性能は量子ビット数だけでは判断できない。ゲート忠実度、接続性、速度、エラー率などを合わせて見る必要がある。開発の責任範囲を分け、David Rivas氏を新設の最高執行責任者(COO)、Andrew Bestwick博士を最高技術責任者(CTO)に任命した。
✍️ Quantum Indexの視点
発表内容の背景にある技術・事業上の意味と、数字や見出しだけでは見えにくい評価ポイントを解説します。 独自分析を読む ↓
発表概要
新設するSystems Delivery組織は、製造運営、システム納入、商業部門、顧客向けエンジニアリングを担う。これまで設置や顧客支援の一部は技術組織が担当していたが、専任の指揮系統と人員を置くことで、納入から顧客支援までの責任を明確にする。 従来CTOを務めていたDavid Rivas氏はCOOとして、製造運営やシステム納入に加え、ソフトウェア工学、アプリケーション、事業開発、政府プログラム、サプライチェーン、施設を統括する。 Cepheus級マルチチップシステムの設計を率いたAndrew Bestwick博士はCTOに就任し、量子プロセッサ開発、チップ製造技術開発、ハードウェア工学を担当する。両氏は社長兼CEOのSubodh Kulkarni博士に直属し、人事は2026年8月18日付で発効した。 同社が対象とするオンプレミス製品は、9量子ビット量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。のNoveraから108量子ビットのCepheus級システムまでを含む。Cepheus-1-108Qは9量子ビットのチップレット12個を接続した構成で、同社は中央値99.5%の2量子ビットゲート忠実度ゲート忠実度Gate Fidelity / Quantum Gate Fidelity量子ゲート操作が、理想的な操作にどれだけ近く実行できたかを示す精度の指標。QI補足高いほど一般に良いが、測定方法や1量子ビット・2量子ビットゲートで値は異なる。比較時は評価条件も確認したい。を目標に掲げている。ただし、この性能目標は達成済みとは発表されていない。
重要ポイント
- オンプレミス量子システムの納入と顧客支援を担うSystems Delivery組織を新設した
- David Rivas氏が新設のCOOに就き、製造、納入、ソフトウェア、事業開発などを統括する
- Andrew Bestwick博士がCTOに就き、量子プロセッサ、チップ製造技術、ハードウェアの開発を率いる
- 対象製品は9量子ビットのNoveraから108量子ビットのCepheus級システムまでを含む
- Cepheus-1-108Qの2量子ビットゲート忠実度は中央値99.5%が目標であり、達成時期は示されていない
技術・事業上の意味
事業面では、システム納入と顧客支援を研究開発部門から切り分け、オンプレミス導入に対する責任体制を明確にした点に意味がある。技術面では、CTO配下にプロセッサ設計、チップ開発、ハードウェア工学を集約し、チップレット型Cepheusの性能向上に技術資源を集中させる狙いがある。一方、再編が納入件数や開発速度、業績に与える効果は現時点で示されていない。
今後の注目点
今後は、NoveraやCepheus級システムの納入件数、導入先、顧客支援の実績が具体的に示されるかが焦点となる。技術面では、Cepheus-1-108Qが中央値99.5%の2量子ビットゲート忠実度を達成できるか、その測定条件とともに見る必要がある。加えて、組織再編後にロードマップ上の開発成果や納入期間の改善が示されるかも、再編の効果を判断する材料となる。
✍️ Quantum Indexの視点
今回の発表で重要なのは、Rigettiが量子システムの「開発」と「納入」を組織として切り分けた点にある。オンプレミス製品を研究開発の延長ではなく、製造、設置、顧客支援まで含む事業として運営する体制を明確にした。
一方、組織再編だけでオンプレミス需要や納入能力の向上が確認されたわけではない。今後はNoveraやCepheus級システムの納入件数、導入先、顧客支援の実績がどこまで具体化するかを見る必要がある。
技術面では、Cepheus-1-108Qが目標とする中央値99.5%の2量子ビット量子ビットQuantum Bit / Qubit量子コンピュータで情報を表す基本単位。0と1のどちらかだけでなく、それらを重ね合わせた量子状態を取れる。QI補足量子ビット数が多いほど必ず高性能とは限らない。誤り率、接続性、コヒーレンス時間や論理量子ビット数も重要になる。ゲート忠実度ゲート忠実度Gate Fidelity / Quantum Gate Fidelity量子ゲート操作が、理想的な操作にどれだけ近く実行できたかを示す精度の指標。QI補足高いほど一般に良いが、測定方法や1量子ビット・2量子ビットゲートで値は異なる。比較時は評価条件も確認したい。も一つの焦点だ。これは誤り訂正を見据える上で意味のある水準だが、達成しただけでFTQCFTQCFault-Tolerant Quantum Computing / FTQC量子誤り訂正を用い、物理的なエラーが起きても正しい計算を続けられるようにする、将来の本格的な量子計算の方式。QI補足量子誤り訂正の実証とFTQCの実現は同義ではない。論理エラー率、必要な物理量子ビット数、論理ゲート性能などが重要になる。の実用化が見えるわけではない。より重要なのは、誤り訂正を実装した際に、量子ビット数やコード距離を拡大しても論理エラー率を継続的に下げられるかである。
今回の再編の評価は納入実績で、Cepheusの技術評価は99.5%の達成条件と、その先の論理エラー抑制で見るべきだ。
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